ブレーキキャリパーの引きずり・固着のオーバーホール修理手順と注意点

ブレーキは、車を安全に停止させるための最重要パーツです。このブレーキが利かなかったり、引きずったりしてしまうと安全走行ができなくなるという事です。本記事では、ブレーキキャリパーの引きずり(固着)を修理する手順や注意点などを解説します。

目次

ブレーキキャリパー固着を起こした軽自動車【日産オッティ】

オッティ

ここでは、ブレーキキャリパー固着を起こした車両の紹介や固着症状などを解説します。

ブレーキの調子が悪くなった軽自動車

調子が悪くなったブレーキ

日産オッティという車が、今回不調症状を起こしています。走行距離は約120,000㎞でした。日産オッティは、三菱ekワゴンのOEMモデルです。という事は、基本設計はeKワゴンと同じであるともいえます。

キャリパー固着の不具合症状とは?

不調症状は、ブレーキを踏んでいないのにブレーキが利いた状態になってしまっているという事と、どうやらフロント側がブレーキが常時利いている状態に感じるとのことでした。つまり、引きずりを起こしている状態になります。

車をジャッキアップして、タイヤを回して検査していきます。明らかにフロントタイヤが回らない状態となっていました。という事は、ブレーキを踏まなくてもブレーキが常時利いているという事です。

かなりの重症状態になっていることが予想されました。いわゆるブレーキが利いた状態で固着しているという事になりそうです。

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ブレーキキャリパー固着をオーバーホールして直す【修理手順】

ディスクブレーキ

ここでは、ブレーキキャリパー固着修理を解説していきます。ブレーキは、重要保安部品です。作業に自信のない方(出来ないと思う方)は、ディーラーや整備工場など専門業者に依頼しましょう

ブレーキキャリパーを取り外す

キャリパ取り付けボルト

タイヤを外すと、ブレーキローターやキャリパーが見えます。

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キャリパー裏の14㎜のスライドピンボルトとフレアナットレンチで14㎜のブレーキホース取付ボルトを外せば、キャリパーが外れます。

この時、ブレーキフルードが漏れますので、下にバケツなどをおいて対応しましょう。

ブレーキピストンを取り外す

ブレーキピストン外し

筆者の反省部分なのですが、固着したピストンが中々外せず、写真撮影し忘れてしまいました。完全に固着してしまった場合は、バーナーで焙ったりしながらピストンを外します。

しかしバーナーで焙るという事は、キャリパーの中にあるシール(ゴム)などが破損する可能性があります。新品パーツをあらかじめ用意しておくことが望ましいといえます。

錆などをなるべく取り除き、オーバーホールする

ピストン清掃

固着してしまっているという事は、キャリパーとピストンがサビで一体化しているという事になります。できるだけきれいに錆落とし作業をしましょう

元通り組み付ける

シールキット

今回は、上記画像のシールキットと新品ブレーキピストンを購入しました。シールキットは、3000円前後です。ピストンも1個3000円前後でした。

オイルシール取り付け

オイルシールを取り付けます。これはブレーキフルードが外に漏れないようにするパーツです。しっかり組み付けましょう。

新品ピストン

ダストブーツを取り付ける場合は、ピストンにグリスをしっかり塗布してピストンの根元に装着します。

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ダストブーツには裏表がありますので、しっかり確認して作業しましょう。

ピストンを入れる

ピストンをキャリパーにはめていきます。このとき真っすぐ入れるようにしましょう

ピンを溝にはめる

この作業は、少し説明しづらいのですが、外した時の状態をしっかり記憶しておけば間違いのない作業ができます。ピンをはめるときにはしっかりとピン全周を確認して、完全にピンが入っていることを確認します。

ダストブーツ確認

しっかりダストブーツが取り付けられているかチェックします。ブレーキホースの取り付け穴からエアを注入しピストンの出方やダストブーツの状態をチェックします。勢いよくピストンが飛び出るので、ウェスや木を挟み込み指などを挟まないように注意しましょう

パッド仮組み

新品ブレーキパッドを仮ではめてみます。しっかりとブレーキローターが収まるようなスペースもあり問題なさそうです。

ブレーキパッドは、軽自動車で〜3500円、普通車で〜7000円位です。ブレーキをオーバーホールする場合は、同時交換するパーツと考えましょう。

キャリパ取り付け

キャリパーを元通り組み付けます。この時スライドピンのブーツなども交換しましょう。またスライドピンの動きが渋いと、内側のパッドが減る現象が起きます。しっかりグリスをロッドに付けてあげましょう。また、キャリパ取り付けボルトは必ず規定値のトルクで締め付けましょう

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ブレーキフルードを入れてエア抜きする

エア抜き

ブレーキフルードは、キャリパーを外した段階で再注入が必要になります。エア抜きをしっかり行いましょう

以上でブレーキキャリパーのオーバーホールは終了です。このオッティの場合は、片側約40分くらいで作業できました。

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ブレーキキャリパーが固着すると【注意点】

注意点

キャリパーが固着するとどのような問題があるのでしょうか。

ブレーキが利いたまま固着するとブレーキパッドが急激に摩耗

パッド摩耗

ブレーキが利いた状態でキャリパーが固着してしまうと、ブレーキパッドが非常に摩耗します。またスライドピンが固着してしまうと、内側のパッドだけ急激に減ります。

ブレーキ固着は、固着状況によっては常時ブレーキが利いた状態になります。ドライバビリティにも大きく影響し、場合によっては事故にもつながってしまいます。早急な修理が必要なパーツです。

ブレーキが利いたまま固着すると、火災につながる

ブレーキは、ブレーキローターにブレーキパッドを押し付けて止まると言うように、非常に原始的な装置でもあります。そしてこれは非常に熱を持つパーツです。

フロントブレーキもリアブレーキ(ドラム式)であっても、非常に熱が発生します。そのため長い時間ブレーキが利いた状態になると、火災に繋がってしまいます。安全走行するためには、大変注意しなければならないパーツであるといえます。

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この記事を書いた人

北の大地から、車に関する記事執筆をしている40代の1児のパパ。趣味と特技は、車整備とバスケットボール(プレイヤー)を時間の許す限りする事です。
なるべくわかりやすい執筆をするのを心がけております。

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