段差で「コトコト・ゴトゴトと異音がする」との相談がありました。走行中に異音がするという事は、大きな事故や故障につながるかもしれません。本記事では、ワゴンR MH21Sのタイロッド・ラックエンドの役割や交換方法などについて解説してみます。
【ワゴンR MH21S】「タイロッド・ラックエンド」役割・交換方法 ~役割~
まずは、ワゴンR MH21Sのタイロッド・ラックエンドの役割について解説してみます。
タイロッドエンドの役割とは?
タイロッドエンドとは、ハンドル操作をするステアリング機構の一番先に付いているパーツになります。ハンドルを左右に切るたびに、タイロッドエンドとナックル(タイヤの付くパーツ)がコジレあっています。
もし鉄同士で接合されていると干渉音がするために、タイロッドエンドにはボールジョイントとグリス、そしてブーツが使用されています。これは、段差などによる上下のネジレにも対応していくためでもあります。このパーツが故障し脱落すると、ハンドル操作ができなくなります。
ラックエンドの役割とは?
ラックエンドとは、ステアリング機構のパーツの一つになります。主に左右の舵取りの際に、左右に出たり入ったりするステアリング機構の衝撃吸収役となっています。
一般的には、ボールジョイントが使用されていることが多く、この部分にガタが出ることでタイロッドエンド同様に異音が発生し、ハンドル操作が不安定になったりします。
【ワゴンR MH21S】「タイロッド・ラックエンド」役割・交換方法 ~タイロッドエンド作業手順~
まずは、タイロッドエンドの交換手順を紹介します。また、北海道特有と思われるトラブルについても解説します。
タイロッドエンドを外すには?
タイロッドエンドは、ナックル部に接合されています。ナットを外して、ナックル部をハンマーなどで叩くとスポッと抜けてきました。この段階でブーツが破れてグリスが漏れていました。
一般的には、上記のようなパーツを使用する事が多いと思いますが、既に故障しているケースでは、ハンマーだけで外れてしまう経験が多いと感じます。
タイロッドエンドは、見ての通りサビサビの状態になっていました。かなり前から潤滑油を塗布していたのですが、緩んでくれるかかなり心配です。
タイロッドエンドを外している最中に他のトラブルが発生
タイロッドエンドを外そうとしていた時に気が付きました。それは、異音の原因が複数あることにです。ラックエンド側のボールジョイントにもかなりのガタが出ていて、ラックエンド交換もしないとならない事を発見してしまいました。
さらにタイロッドエンドが外れない事態に「北海道あるある事情」
心配していたタイロッドエンドは、実を言うと内部がアルミ素材で出来てます。長期間の使用や調整などによって固着や内部変形がおき、ネジが回らなくなることが多くなっています。
特に融雪剤を多く撒いている雪国に多い現象のような気がします。この車は、一度もタイロッドエンド自体を交換したことがなさそうです。完全に固着して回せなくなっていました。
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【ワゴンR MH21S】「タイロッド・ラックエンド」役割・交換方法 ~ラックエンド作業手順~
ラックエンドの不具合も見つかったので、ラックエンドを緊急に交換する事にしました。
ラックエンドを取り外す
ラックエンドは、ラックエンドブーツ内に収まっています。そのため、まずはブーツを抜く必要があります。一番奥で止まっているバンセンを外します。
ブーツ先端のホースクリップを外したら、前にブーツを引き抜いて行きます。本来であれば、タイロッドエンドが外れているので、ブーツが抜けるのですが、今回は抜けないので邪魔にならない所まで動かします。
ラックのボールジョイント部にあるストッパーの爪をマイナスドライバーなどで起こして、パイプレンチとスパナを駆使してラックエンドを外します。ここは、すごく力のかかる場所です。ケガなどに注意しましょう。
ようやく外すことができました。結構固く締まっていますので、本当にケガなどしないようにうまく作業して下さい。
今回は、急遽ラックエンドを仕入れることになりました。また、作業が進まず詰まってしまいました。もしかすると、上記のようなネットショップで購入した方がかなり安かったかもしれません。部品商では、1本5000円位したようです。
外した時と逆の手順で、新品のラックエンドを取り付けます。取り付けの際にラックエンドとステアリング機構の可動部にグリスを塗布しておくと良いでしょう。
無事にラックエンドが取り付けられました。ガタガタだったラックエンドが、シャキッとしています。因みにステアリングラックブーツは、故障したラックエンドをサンダーで切断して再利用してます。
ラックエンドを取り付けてタイロッドエンドを取り付ける
新品のタイロッドエンドを取り付けて行きます。ワゴンR MH21Sのタイロッドには、年式型式問わず2種類のネジピッチがあるようです。現物確認をしてから購入しないとあわないという事になります。今回は面倒だったので、二種類買っちゃいました。
今回は、ラックエンドから交換していましたので、ハンドルのセンターを出したところから、慎重にタイロッドエンドの長さを調整して、目視で真っ直ぐにローターなどがなっているか、左右確認しながら決めていきます。
とりあえず、タイロッドエンドの調整ナットは、緩めにロックさせておきます。後でトーイン調整の際に楽に作業するためです。
トーイン調整を行う事はすごく重要
トーイン・トーアウト調整はすごく重要です。タイヤが正規の方向になっていないと、片減りなどの原因になります。もし不安な方は、タイヤ販売店や陸運支局の近くにある予備検査場などで調整してもらいましょう。