ハイブリッド車や電気自動車に設定される電気式4WD(四駆)には、従来の機械式4WD(四駆)とは異なる仕組みが採用されています。本記事では、トヨタのハイブリッド車で採用されている電気式4WD(四駆)である「E-Four」を例として、電気式4WD(四駆)のメリット・デメリットを解説します。
【4WD】電気式四駆(E-Four)のメリット・デメリット ~機械式との違い~
ここでは、電気式四駆である「E-Four」と機械式4WDは、どのような点で違いがあるのかを解説します。
電気式四駆「E-Four」の特長
電気式四駆である「E-Four」は、モーターで車輪を駆動するシステムです。モーターを使用するので駆動動力は電気によるものとなります。ということは回転数やトルクを電子的に100%制御できることにもつながります。
トヨタが設計・搭載している「E-Four」には、現在大きく分けて2種類のシステムがあります。
- 燃費性能・居住性などを重視した小型乗用向けのシステム
- ミニバンなどの重たい、大きい車向けの高出力タイプのシステム
機械式4WDの特長
機械式4WDは、エンジンの回転をプロペラシャフトやデフ、ドライブシャフトを介して4輪を動かす従来車の4WD(四駆)で使われているシステムです。
エンジンの回転にあわせてリニアに反応でき、デフなどのギアが組み込まれることでトルク特性なども車種によって特長が変えられます。
【4WD】電気式四駆(E-Four)の「メリット」
電気式四駆「E-Four」を採用したことへのメリットはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、電気式四駆「E-Four」のメリットを解説します。
電気式四駆「E-Four」は車両重量を軽くできるので、燃費性能も良くなる
電気式四駆「E-Four」は、機械式4WDとは違い、プロペラシャフトやデフなど多くのパーツが必要なくなります。これは、車の軽量化などに繋がっていきます。軽量化できるという事は、結果燃費向上に繋がります。
機械式4WD特有の高いフロアトンネルがなく、居住空間が広くなる
エンジンからリアに動力を伝えるプロペラシャフトがないことで、車内居住空間を広くとれます。通常の機械式4WDの場合は、プロペラシャフトを設置するためにフロアセンター部が盛り上がってます。この部分がいらなくなる電気式四駆「E-Four」では、居住空間として利用できることが可能です。
電気式四駆「E-Four」は、製造コストが下がることから車両価格も抑えられる
一般的なエンジンモデルとEVモデルでは、そもそも使用されている部品点数量が違います。ただハイブリッドモデルは、エンジンとモーターの両方が搭載されていますので、部品点数が増えることはあっても減ることはありません。
これは、製造原価に直結します。車両価格を抑えるためには、部品点数の少なくなるモーター駆動式という選択は大切と言えるでしょう。
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【4WD】電気式四駆(E-Four)の「デメリット」
電気式四駆「E-Four」は、機械式4WDに比べてデメリットはないのでしょうか。機械式4WDと比べてデメリットと思われる点を解説します。
電気式四駆「E-Four」は、駆動やトルクをCPU管理するのがデメリットに
電気式四駆「E-Four」の場合は、コンピューター内で駆動を制御しています。そのため運転最中、「ここで四輪駆動がほしいな」と思ったとしても四駆にならない場面がかなり出てきます。トヨタでは、こういった場面を想定し、TRCや横滑り防止機能なども装備しています。
機械式4WDでは、一般的に前後の配分は7対3や5対5などの駆動配分はあっても、前後のどちらかがゼロになることがないモデルがほとんどです。
また車種によっては、パートタイム4WDを装備している車種もあります。駆動する・しないを100%電子制御している電気式四駆「E-Four」が、機械式4WDの強制的な駆動力より現段階では不利な点と言えるでしょう。
電気式四駆「E-Four」は基本FFである点が道路状況ではデメリットに
電気式四駆「E-Four」が作動するのは走行時に「滑り」を検出したときです。そのため、「滑り」を検出していないときには作動しないのが通常です。また「E-Four」の作動範囲は、発進から40㎞/h~70K㎞/hの作動としています。
よって高速道路などでは、FFで走行している事が多くなります。アイスバーン走行や圧雪であっても雪が深い地域では、電気式四駆「E-Four」が不利になると言えるでしょう。