タフで実用的な200系ハイエースも、場合によってはミッションケース(窯)が割れるという故障が起きるようです。当記事では、実際にATミッションケースの割れを修理しながら、割れる原因や修理の注意点などを解説します。
【200系ハイエース】「ATミッションケース割れ」の故障修理 ~実例紹介~

筆者は、ミッションケースが割れたという事例をはじめてみました。ここでは、200系ハイエースのミッション割れ修理に関して解説します。
最初に200系ハイエースのATミッション割れ故障修理手順を解説

200系ハイエースの4WDは、ミッション脱着までにいろいろな工程があります。先にミッション割れ修理手順(流れ)を記載します。
- バッテリーを外す(場合によっては、ダブルバッテリーの場合があります)
- トランスファーオイルを抜く(プロペラシャフトを抜くと漏れるため)
- プロペラシャフトを2本抜く
- ATミッションとエンジンを接合しているボルトを外す
- ATミッションに付いている配線コネクターをすべて外す
- ATパイプを2本外す
- マフラーを外す
- ATミッションにジャッキをかける
- ミッションマウントのミッション側のボルトを外す
- ATミッションをジャッキに載せて引き抜く(三人くらいいると安心)
- ミッション故障したところを直す。
- 逆の作業手順で組付けて、トランスファーオイル・ATフルードを入れて試験稼働し終了
作業的には、上記のような流れになります。作業時間は、約6時間かかりました。
200系ハイエースのATミッション脱着、割れ修理実例を紹介

スターターモーターなどが近くにあるため、バッテリーを必ず外して作業しましょう。200系ハイエースは、ダブルバッテリーの場合があります。注意しましょう。

トランスファーオイルを抜き取ります。これは、プロペラシャフトを抜くとオイルが漏れてきてしまうためです。複数人で作業する場合は、この時点でエンジンとミッションを接合しているボルトをもう一人が緩めていきます。

フロント側、リア側のプロペラシャフトを抜き取ります。重たいので顔に落ちないよう注意しましょう。

ATミッションに付いている配線とATパイプ2本を外します。ATミッションを降ろすときは、必ず必要な作業です。

マフラーを外してしまいます。ちょうど作業の邪魔になるところを通過しているので外して作業しやすくします。

オイルパンにジャッキ(ジャッキ上に板を引いた)をかけて、ATミッションを抜きます。この時ATミッションが不安定な状況になるので、なるべくケガしないように3人くらいで作業するのが良いでしょう。

一人がATミッションを修理している間に、ミッションマウントをもう一人が交換します。

ATミッションケースの割れの原因になったミッションマウントです。価格は5000円位です。

新品のミッションケース(窯)は、アルミ製で30000円位でした。

外した時と逆の手順で、ATミッションを組み付けます。またプロペラシャフトや配線、ATパイプやマフラーを取り付けてしまいます。トランスファーオイルを入れ、ATフルードを補充し試験稼働してみます。問題なければ作業終了です。
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【200系ハイエース】「ATミッションケース割れ」の故障修理 ~注意点~

200系ハイエースだけではないのですが、下廻りのパーツ交換や修理する際には、注意してほしい点があります。
マフラーボルトがサビで、外れない事象が多い

マフラーは、高熱になるだけでなく泥水などがかかり非常にサビやすいパーツです。そのためボルトが緩まない、折れる、ボルト頭がナメルという事象が起きます。この作業では、ボルトが折れずにナメタので、ボルトを切断しています。こういった事象が起こる事が多いので、予めトラブルの可能性があるという認識が必要です。
ミッションマウントのボルトが、固着しているケースが多い

ミッションマウントですが、鉄カラー付きのゴムの中にボルトが通っています。そのためボルトとカラーがサビや固着で同化してしまうことが良く起きます。
この場合は、切断するかバーナーやミニインダクターと呼ばれる特殊なツールで暖めて、外すことが必要になります。
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【200系ハイエース】「ATミッションケース割れ」の故障修理 ~発生原因~

そもそもどうして、強いパーツであるATミッションケース(窯)が「割れた」という事象が起きるのでしょうか。
ミッションマウントの劣化で割れるケース

200系ハイエースのATミッションは、一か所のミッションマウントで保持されています。このミッションマウントが、役目を果たさなくなると、ミッションは大きく上下左右に振られてしまいます。
つまり、エンジンとミッションの接合部である「窯」の部分が支点になり荷重が掛かるという事です。そのためミッションケース(窯)が割れるという現象が起きるようです。じつは修理するつい一ヶ月くらい前までは、純正部品の在庫はありました。しかしいざ修理しようと注文したら、バックオーダーになってしまいました。
このミッションケース(窯)のオーダーは、その時確認した在庫個数からすると多い故障であると結論付けました。
ハイエースの使われ方や走行距離で疲労して割れるケース
そもそもハイエースは、仕事で使用される事の多い車です。走行距離も多くなる傾向があります。そのためミッションマウントだけでなく、ミッションケース(窯)が疲労してしまう場合があります。またミッションマウント不良と疲労の両方が重なる事もあり得ます。
走行距離が多い場合や、年数が経過している場合では、ミッションマウントを新品にしてミッションケース(窯)への負担を低減してあげるのが良いでしょう。