走行中にアクセルを戻すと、エンストしてしまうトラブルのある車が発生しました。車は、エブリイワゴンです。ドライバーは、突然のエンストでかなり焦ってしまったようです。本記事では、同モデルのアイドル不調を診断しながら、不調症状を探り整備してみます。
エブリイワゴンがアイドル不調!?【診断編】
アイドル不調の原因を多方面から行ってみます。普段でもある程度は、色々な方向から診断するのですが、久しぶりにトラブルとなった車でしたので、基本から診断しています。
エブリイワゴンの不調症状を事情聴取する
ドライバーさんから不調症状を聴取していきます。この作業は、非常に大切です。ドライバーさんの話だと、「アクセルオフにして、停車しようとしたときに、前触れもなくストンとエンストしてしまう」という事でした。
エンジンの再始動は出来るものの、再びアクセルを戻すと「エンスト」を繰り返してしまうとのことで、何とか停車寸前でシフトをNレンジにして少し空ぶかししながら走行してきたようです。
この情報から、筆者はおおよその推理をしました。点火、空気、燃料の問題がない状態で、アイドル不良が起きる場合の原因は、スロットルボディ関連に不具合があるケースが多いと予想します。
エブリイワゴンの点火系を検査する
まずは、点火系をチェックします。このモデルは、ダイレクトイグニッションコイルを使用しています。
上記画像のような装置を使い、各気筒のダイレクトイグニッションおよび点火状況をチェックします。3気筒ともチェックし、特に問題ないと判断しました。
そしてプラグのチェックをし、現段階でアイドル不良となる主原因ではないことを確認しました。
エブリイワゴンのエンジン圧縮も計る
エンジン本体の不調症状だと、整備の意味がないと思い、念のため各気筒の圧縮比も測定しました。
エブリイワゴン(ノンターボ)の圧縮比は、10.5となっています。数度検査し10.0付近となっていましたので、とりあえずエンジン内部破損などではないと結論付けました。
エブリイワゴンの吸気系を検査する
エアクリーナーの裏表は、吸気ができないほどの汚れではないので、特に異常はないと判断しました。
燃料系は、今回の症状とはかなりかけ離れた不具合が出るとの見解から、燃料ポンプ作動と圧縮測定時の燃料噴霧状況で、異常なしと結論付けました。
上記のような検査から、エンジンを稼働するための3要素には大きな不具合がないと云う事から、制御系での異常である可能性が高いと推理しました。
エブリイワゴンのスロットルボディを清掃してみる【整備編】
一番怪しいスロットルボディを清掃してみることにします。
スロットルボディを外して洗浄する
後述しますが、スロットルボディは案外高価なパーツです。そのため、まずはスロットルボディを洗浄し、アイドル異常が直るかをユーザーの了解を得て試すことにしました。
スロットルボディは、30分くらいで取り外しができます。
- エアクリーナー関連パーツを取り除きます
- 各コネクターを外します。
- スロットルワイヤー関連を外します。
- 4本のボルトを外します。
- 最後に下側についているホース二本を外します。
- スロットルボディをホワイトガソリンなどで丁寧に洗浄します。
スロットルボディについているISCVバルブ単体を洗浄する
スロットルボディには、ISCV(アイドリングを制御するバルブ)が付いています。この装備は、各メーカーで形状は少し違うことはあっても多くのモデルで採用していると感じます。
このISCVの働きが悪くなり(もしくは故障)することで、アイドル不良となるケースが多いと感じます。とくにアクセルオフした際にストーンとエンストする場合は、このパーツが悪さしているのが多い気がします。このISCVを丁寧に清掃してあげます。
エブリイワゴンを試験稼働させる
エブリイワゴンを試験稼働させます。試験稼働する場合は、エンジンを暖め水温がしっかり上昇してから行う事が大切です。
なぜならエンジン始動時の冷たい状態では、そもそもアイドルアップしてしまい、正確な試験ができないからです。
30分位エンジンをかけて放置します。その後出来るだけ長い距離を試験走行し、その間アクセルオフなどを繰り返します。
「あら!」エンストしないではありませんか。とりあえずユーザーに確認してもらい、数日様子を見ることにしました。
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エブリイワゴンのアイドル不調症状では?【ポイント編】
ここでは、アイドル不調症状で整備するときのポイントを解説します。
スロットルボディの目詰まりは不調症状に直結
スロットルボディは、新品だと5万近くします。リビルドでも上記のような価格です。もし故障が確定している場合は、交換が一番良いと思います。しかしながら結構高価なパーツですので、一度分解清掃してみるのも有りだと感じます。
スロットルボディにあるISCVはアイドル制御の基本パーツ
ISCVバルブは、比較的故障が発生するパーツであると感じます。今回は、清掃である程度改善されたのですが、もしISCVが完全故障した場合は、交換するのが一番早いです。清掃しても改善されない場合は、まずはパーツ交換すると良いでしょう。