ラジエター液がすぐに減ってしまい、毎日補充しているとの連絡が入りました。ラジエター液は一般的に急激に減ることはありません。ということは、どこかに異常があると思われます。本記事では、ラジエター液漏れ診断からウォーターポンプ交換までを解説します。
【クリッパー】ウォーターポンプ交換!ラジエーター液漏れ修理 ~現象・原因~
今回相談いただいた車は、日産クリッパーです。三菱からのOEMモデルです。まずは、どうしてラジエター液が減るのか原因を探ります。
半日走行するとリザーバータンクが空になる
クリッパーの症状は、半日走行するとリザーバータンクが空になってしまうとのことでした。確かに、ユーザーが購入したラジエター液4Lがすでに半分になっていました。
最初にお話ししたようにラジエター液は徐々に少なくはなりますが、これほど急激に減ることはありません。
またラジエター液が無くなると云う事は、エンジンクーリングができず、最悪の場合エンジンブローにつながる危険な状態です。
外には漏れていないとユーザーは話していたが!?
ユーザーから事情を聞いてみると、「外にはラジエター液が漏れていないと思う」とのことでした。
このことからまずは、エンジンオイルに混入していないかや排気に混入していないかなどをチェックしていきます。残念なことに、全く異常がない状況でした。
そこで下回りに潜り込み、点検していくことにしました。するとエンジンフロント側から「ものの見事にラジエター液が漏れていることが判明」しました。推察するに、ウォーターポンプから漏れていると考えます。
しっかりリフトにあげて検証したら、やはりウォーターポンプからラジエター液が「ダダ漏れ」している状況でした。
ウォーターポンプには、一カ所か二か所穴が開いています。内部のパッキンなどが破損すると漏れてきます。そこからラジエター液が漏れてました。パッキン類などの経年劣化だと思われます。
【クリッパー】ウォーターポンプ交換!ラジエーター液漏れ修理 ~交換手順~
それでは、ウォーターポンプ交換をしていきます。
ウォーターポンプが外せるまで周辺パーツを外す
まずはラジエター液を抜いてしまいます。ラジエター液を抜いておかないとウォーターポンプを外した時にかなりの量があふれ出し、収拾がつかなくなります。
つぎにファンベルトを外す前にウォーターポンププーリーを止めているボルトを先に緩めておきます。外してから緩めることも可能ですが、ベルトの張力を利用して先に緩めた方が楽だからです。
そして全てのベルトを外します。なぜならウォーターポンプを交換するためには、タイミングベルトカバーを外す必要があるからです。
ベルトを外したら、テンショナープーリーを外します。またパワステポンプも邪魔になるのでボルトを外して少しづらしておきます。
クランクプーリーは、17mmのボルトで止まっています。かなりの力で締め付けられていますので、ベルト式のエレメント外し等を利用してあげると良いでしょう。
間違っても金属製のものをプーリーに掛けて傷つけないようにしましょう。
クリッパーはウォーターポンプのみの交換も可能だった
タイミングベルトカバーを外すと解るのですが、クリッパーは、ウォーターポンプのみの交換も可能な配置になっていました。とはいえ、タイミングベルト交換とほぼ同じ様な作業工程です。時期がきているのであればタイミングベルトも同時に交換すると良いでしょう。
古いウォーターポンプは、10mmボルトで5箇所ほど止まっています。全て外してしまうと、ラジエター液がかなり出てきます。一本だけ緩めておくだけにして。ラジエター液を排出すると顔にかからず良いでしょう。
外したウォーターポンプやエンジン側には、パッキンが残っています。
綺麗に取り除き、段差や異物がないように接合面を平らしましょう。
綺麗にした画像が上記です。新品を付けたのに漏れてきてしまうと、かなりガッカリなことになります。念入りに綺麗にしましょう。
新品のウォーターポンプを取り付けます。あとは、外した時と逆の手順でパーツを戻せば交換は完了です。最後にラジエター液注入を行います。所要時間は、3時間位でしょうか。
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【クリッパー】ウォーターポンプ交換!ラジエーター液漏れ修理 ~ポイント~
ここでは、ウォーターポンプ交換する際のポイントを解説します。
ラジエターのエア抜きをしっかり行おう!
ラジエター液をかなり抜き取っています。そのためラジエター液のエア抜きは必須作業になります。
ラジエター液交換では、上記のようなクーラントチェンジャーと呼ばれるアイテムを使用すると凄く楽チンです。逆ないと、エア抜きが完了するまでずっと近くにいないといけません。
ラジエターエア抜き手順
- ラジエター液をラジエターコア目一杯入れてあげる
- 紹介したツールを取付しラジエター液を入れる
- エンジンを始動しホット設定の風量全開にする
- ツールからエアがポコポコ出始める
- 回転を強制的に上げエア抜きしている
- コンデンサーファンが回ればある程度エア抜きできている
- いったんエンジンを止めて冷やすとリザーバータンク内ラジエター液が減る
- 補充して終了
ウォータポンプ交換の際はタイミングベルトも交換が吉!
ウォーターポンプ交換しなければならないと云う事は、10年経過や10万キロほど走行していることが多いと思います。
ということは、タイミングベルト交換もそろそろ行う必要が出てきます。今回のように、タイミングベルト交換の作業手順と途中まで一緒の工程であると云う事は、ウォーターポンプ交換するなら、タイミングベルト交換もした方が良いでしょう。