近年の車は、環境問題などからブローバイをエンジン内で処理する仕組みが取られています。実はこのサイクルが、車の調子を落とすこともあります。本記事では、オイルキャッチタンクを取り付けしながら設置目的や、車検通らないこともある点などについて解説します。
オイルキャッチタンクとは、どういうものなの?~設置目的~
オイルキャッチタンクとは、どのような目的で設置するのでしょうか?
オイルキャッチタンクは、ブローバイに含まれる不純物を除去する
エンジン内部では、ピストン運動の関係で高圧縮された燃料やその過程でミスト化したオイルが生成されます。その成分をどこかで抜かないと、エンジン内で圧力が高まりエンジンを壊してしまいます。そのためエンジンヘッドカバーなどのPCVバルブを介して、圧を抜く仕組みになっています。
昭和40年代の車では、ヘッドカバーなどからのブローバイを大気にそのまま開放しても問題なかった時代もありました。もちろん近年では、環境汚染物質の一つになることから、大気開放せずにインテークマニホールドに戻すことで再使用されています。
このブローバイには、オイルや燃料成分だけでなく、スラッジなども多く混入しています。これを取り除くことで、なるべくフレッシュなエアーにしようと考えられたのが、オイルキャッチタンクです。
サーキットなどでは、取り付けが義務化されている
オイルキャッチタンクは、レースやサーキット界では義務付けされている会場やイベントがほとんどです。それは過酷な走行ゆえにエンジンブローすることもあり、ブローすると純正ブローバイホースが破損し、路面にオイルなどをまき散らす可能性が高いからです。
オイルキャッチタンクを取り付ける~設置方法~
それでは、実際にオイルキャッチタンクを設置してみましょう。
オイルキャッチタンク本体の設置場所を考える
オイルキャッチタンク設置で一番重要なことは、オイルキャッチタンク本体をどこに取り付けるのかという点です。
できるだけエンジンから遠い所につけることで、ホース内の熱気が冷やされオイルと気体を分離できると考えますが、車によっては、スペースが確保できない可能性もあります。
今回施工する車も本体設置に悩む日々が続いていました。しっかりと取り付けができ、本体が冷える場所と言うのが中々難しいといえます。
いろいろ相談して、良い場所にステーを作成した方が早いという結果になりました。上記画像は、ステー作成取り付け後の画像です。しっかり固定するために二か所止めと目指した結果、バッテリー固定器具にステーを付けることにしました。
厚さ約2㎜の鉄の板を折り曲げています。折り曲げるのに上記画像のようなプレス機を使用しています。すみません、筆者は初めての作業で夢中になってしまい、画像を多く撮っていませんでした。
その後、縦のステーを溶接付けして、シルバー塗装してステーは完成しています。
ステーが完成したら、本体を取り付けしてボンネット内空間で接触する箇所がないかなどのチェックをします。問題なさそうです。
ホースを取り付ける際にトラブルが発生しました。エンジン本体から出ているブローバイホースがかなり奥にあり、エンジンからホースが引き抜けなさそうな感じでした。
そのため純正ブローバイホースを利用しながら延長する方法を取りました。上記画像は、銅パイプを中間に入れています。
アウト側のホースは、エアクリーナボックス側に差し込みます。バンド固定はしっかり行いましょう。
オイルキャッチタンク設置が完了しました。エンジンをかけてエア抜けや流入がないか確認して、問題がなければ終了とします。
オイルキャッチタンクは、ブローバイホースを置換する作業
オイルキャッチタンクは、純正装備されているブローバイホースを撤去し、新たにオイルキャッチタンクを介したホースに置換するだけの作業といえます。
電気的な配線などもいりませんので、DIYでも比較的作業しやすいチューニングアップといえます。
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オイルキャッチタンクを設置するには~注意点~
オイルキャッチタンクと言うチューンアップは、どのような点に注意するのが良いのでしょうか。
ブローバイは、大気開放したら車検NG
オイルキャッチタンクを使用したからと言って、即車検に通らないという事ではありません。オイルキャッチタンクのOUT側をしっかりインテークマニホールドに戻すことで車検は問題ないと考えます。
オイルキャッチタンクを使用しても使用しなくても、大気開放してしまうと車検には通らなくなります。
またオイルキャッチタンクを使用しないで、純正ホースを外すという行為は、車検に通らないだけでなく、PCVバルブの関係で意味がない可能性が高いです。それは、インテークマニホールドの負圧が利用できないからです。
オイルキャッチタンクに使用するホースは耐圧・耐油・耐燃料性を使用
オイルキャッチタンクを取り付ける際は、耐圧・耐油・耐燃料性の高いものを使用しましょう。一般的なホースなどを使用すると、ホース潰れや液漏れが起きたり、抜けて車の調子が悪くなったりします。
耐圧・耐油・耐燃料性の高いものを使用するのが良いと書きましたが、筆者はもう一つ重要なことがあると思います。それは耐熱性です。
実際のエンジンルーム内は、非常に高温にさらされています。そして市販されているホースのほとんどが、耐熱性が高いものがありません。今回は、耐熱シートを使用してみました。