バッテリー・クーラントテスターは、バッテリー液の比重やクーラントの濃度を計測するのに便利なツールです。また比重や濃度を知ることで、車の健康管理にも役立ちます。本記事では、バッテリー・クーラントテスターの使い方や注意点などを解説します。
【比重計】バッテリー・クーラントテスターの使い方 ~バッテリー編~
バッテリーテスターとは、バッテリーの比重を計測する機器です。ここでは、バッテリー・クーラントテスターをバッテリーテスターとして使用して使い方や注意点を解説します。
なお、本記事ではKTCの「AG601」というバッテリー・クーラントテスターを使用して解説を行います。製品によって若干目盛りの表示や使用方法が異なりますので注意して下さい。
バッテリーテスターの見方とは?
比重20℃ | 硫酸濃度[wt%] | セル毎の起電力V |
1.00 | 0 | |
1.10 | 14.7 | 1.92~1.94 |
1.15 | 21.4 | 1.94~1.98 |
1.20 | 27.7 | 1.98~2.03 |
1.25 | 33.8 | 2.03~2.08 |
1.28 | 37.4 | 2.08~2.13 |
1.30 | 39.7 | 2.13~2.15 |
バッテリーは、精製水と硫酸が注入されています。そして充電されたバッテリーの硫酸濃度は、20℃で比重1.280という基準があります。この基準を頭に入れてテスターを使用する必要があります。
一般的に気温(液体温度)が低くなると濃度が濃くなり、気温(液体温度)が高くなると濃度が薄くなります。あくまでも20℃に換算することが必要です。
それ以外に比重によって、バッテリー(セル毎)の起電力もおおよそわかります。バッテリーの健康状態を少し想像できます。筆者の方で簡単な表を作りましたのでご参照ください。
バッテリーテスターを使ってみる
実際にバッテリーテスターを使用してみましょう。
今回使用するテスターは、光の屈折を利用して比重を計測する機器です。使い方は、簡単です。機器の先端の蓋を開けて、バッテリー液を数滴たらして計測するだけです。
また光の屈折を利用しているため、明るさによって照準を合わせる必要があります。照準は、機器の真ん中を左右に回すことで行えます。イメージは、望遠鏡を見やすくする感じに近いでしょう。
上記画像は、実際に計測した物を画像に収めてみました。1.25より少し上になっています。当時の気温が15℃未満であることから、大体問題ない数字と考えます。勿論バッテリーには6個のセルで分かれていますので、全て計測しましょう。
バッテリーテスターを使う時 ~注意点~
バッテリーテスターを使用する際の注意点を解説します。
- バッテリーは硫酸が使用されています。車のボディや服、手に触れないように注意しましょう。
- バッテリーは、6つの部屋に分かれています。全てのセル(部屋)を計測しましょう。
- 明らかに比重が低い場合(20℃換算)は、バッテリー充電や交換をしましょう。
- エンジンは、停止した状態で測定して下さい。
【比重計】バッテリー・クーラントテスターの使い方 ~クーラント(冷却水)編~
クーラントテスターとは、クーラント濃度を測る機器です。ここでは、バッテリー・クーラントテスターをクーラントテスターとして使ったときの使い方や注意点などを解説します。
クーラントテスターの見方とは?
希釈濃度 | 凍結温度 | 冷却性能 | 防錆効果 | ヒーター効果 |
71% | 使用不可な濃度 | |||
70% | -53℃ | △ | ◎ | ◎ |
65% | -53℃ | 〇 | ◎ | ◎ |
60% | -53℃ | 〇 | ◎ | ◎ |
55% | -46℃ | ◎ | ◎ | 〇 |
50% | -40℃ | ◎ | ◎ | 〇 |
45% | -35℃ | ◎ | 〇 | 〇 |
40% | -29℃ | ◎ | 〇 | △ |
35% | -23℃ | ◎ | 〇 | △ |
30% | -17℃ | ◎ | △ | △ |
テスターを使用する前に、まずは冷却水(不凍液)の濃度に関して知る必要があります。冷却水(不凍液)の濃度は、車を使用する地域の気候などによって変わります。
地域の最高気温と最低気温を把握しておくと良いでしょう。その上でテスターを使用しましょう。またウィンタースポーツなどをする方は、冷却水(不凍液)を濃くしておくことも必要となります。
現在のクーラントは、エチレングリコールを多く使用しています。光の屈折を利用したテスターを使用する場合は、エチレングリコールの表を見ることが多いでしょう。
計測方法は、バッテリー液同様に、冷却水(不凍液)を数滴液を垂らして計測するだけです。冷却水(不凍液)は、ラジエーターキャップを開けてスポイトで採取しましょう。
クーラントテスターを使ってみる
筆者在住の場所は、冬場は̠−20℃もあり、もっと寒い地域では-35℃というときもあります。そのため冷却水(不凍液)の濃度は高めの設定にしています。
今回計測した理由は、本州から来た車のため冷却水(不凍液)濃度を計り、場合によってはこの地域にあった濃度に変更するためです。
-50℃となっていますので、上記の表などを見ても問題なさそうです。また冷却性能とヒーター効果も丁度良いバランスとなっていると考えます。
筆者の経験談ですが、濃度が濃すぎるとブルーの部分が全く無くなります。また薄すぎると、下の方だけ透明になります。
クーラントテスターを使う時~注意点~
クーラントテスターを使用する場合の注意点を解説します。
- クーラントは、薄くても濃すぎても車にはよくないといえます。まずは、住んでいる地域の温度帯を考えましょう。
- 冷却水(不凍液)は、ラジエーターキャップを開けて採取します。キャップが冷たい状態の時に採取しましょう。熱いと液が噴き出し火傷します。
- エチレングリコールとプロピレングリコールの2つの表があります。使用しているクーラントを確認してから計測しましょう。
- エンジンは、停止した状態で測定して下さい。
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【比重計】バッテリー・クーラントテスターの使い方 ~種類~
バッテリー・クーラントテスターは、多くの商品がラインアップしています。ここでは、テスターの種類を解説します。
バッテリーテスター(比重計)のみの商品
バッテリーの比重だけを計測したい場合は、上記のような商品で計測することが可能です。こちらは本記事で紹介している「バッテリー・クーラントテスター」とは異なり、スポイトで吸い取った液に浮くフロートと液面の位置で比重を読み取る製品です。
クーラント濃度のみ計測できるテスター
クーラント濃度だけを計測したい場合は、上記のような商品で計測することが可能です。
バッテリー、クーラント、ウォッシャーが計測できるテスター
それぞれの濃度を図る機器を別々に購入することも可能ですが、出来るならば色々な液体を計測できると便利ではないでしょうか。上記は本記事でも使用しているKTCのバッテリー・クーラントテスターです。KTCなだけあり多少値は張りますが、安心の精度で測定できます。
また、安価なバッテリー・クーラントテスターも販売されているので、個人・趣味での使用の方にはこちらもお試し感覚で使用してみるのもおすすめです。
筆者が今回使用したのは、バッテリー・クーラントテスターですが、商品によっては、これにウォッシャー液の凍結温度が計測できるものもあります。非常に便利であると考えます。