ブレーキは、車をきちんと制動させるために重要なパーツであるといえます。このパーツに不具合が起きた場合には、事故などに直結するという事になります。本記事では、ムーブのリアドラムブレーキシューの交換や、交換後のサイドブレーキ調整について解説します。
ムーブのドラムブレーキシュー交換 ~手順~
ムーブのリアドラムブレーキシュー交換手順から解説していきます。
ドラムブレーキの基本的構造
ブレーキを整備するという事は、車に命を預けている関係上神経を使う作業になります。またムーブのドラムブレーキは、ハブ部分が幅広く、画像撮影が解りづらいと考えました。
上記動画を参考に、ドラムブレーキの構造を理解してもらえればよいと思います。基本的にブレーキドラムにブレーキシューが押し当てられて、制動する仕組みです。制動しない時は、リターンスプリングで、シューを縮めています。
タイヤを外し、ブレーキドラムを外す
まずは、タイヤを外してブレーキドラムを外します。今回のブレーキドラムは、比較的簡単に外れましたが、はじめてドラムブレーキを分解整備(5年後)するという場合は、ブレーキドラムが外れないことがあります。
そのような時は、ブレーキドラムの外側に10㎜のボルト穴が2箇所ついています。この穴に均等にネジを入れていくことで、ドラムが外れていきます。
リターンスプリング類を外す
次に上側リターンスプリング2箇所、下側リターンスプリング1箇所を外していきます。
スプリングは、非常に狭い所に引っかかっています。上記のようなツールがあると非常に便利です。と言うよりは、外すときはまだ良いのですが付けるときは、このツールがないと案外苦労します。
シューホールドスプリングを外す
ブレーキシューを押さえているシューホールドスプリングを外します。スプリングを押しながら、センターのボルトが外れるように90度回します。ムーブの場合は、皿を押さえて皿を回すことで簡単に外せる構造です。
リーディング・トレーリングシューを外す
上記の作業が終わりましたら、ブレーキシューが外れます。最後にサイドブレーキワイヤーを外してシューは完全にフリーな状態になります。
この外した状態のまま、作業台などに置くと良いでしょう。前後同じパーツが、付いているため組み込むときに解りづらくなるからです。
外した古いブレーキシューの向きなどを参考にして、新しいシューに組み込む作業をするのが一番楽といえます。
ブレーキシューを購入すると、ブレーキシューが4枚だけ付いてきます。このため古いシューに付いているサイドブレーキオート調整パーツなどを移植する必要があります。見本があるのとないのとでは、作業時間が倍以上変わると考えます。
逆の手順で取り付けする
基本的に外した時と逆の手順で組付けをしていきます。
- 古いブレーキシューから必要なパーツを移植する
- ブレーキシューにサイドブレーキワイヤーを取り付ける
- ブレーキシューを前後セットする
- シュースプリングを取り付ける
- リターンスプリングを取り付ける
- ブレーキドラムをはめる
ドラムブレーキカバーを取り付けし、検査する
ブレーキドラムを取り付けしたら、検査を行います。このときホイールナットを2箇所程ハブボルトに取り付けておくことで、ブレーキドラムが外れないですみます。
サイドブレーキは、自動調整式です。後述しますが、一番基本となる位置でセットします。サイドブレーキを何回かかけて、自動調節機能を働かせます。
このとき一緒に、サイドブレーキをかけたときはドラムが回らなく、サイドブレーキを解除したらドラムが軽く回るかの検査も行います。
もしサイドブレーキを解除しているのに、ドラムが手で回らなければ、取り付けのどこかに不備があることになります。ブレーキがひきずっているので、最初から作業を見直しましょう。
ムーブのサイドブレーキを調整する
リアブレーキシューを交換した場合には、サイドブレーキの調整が必要になります。
サイドブレーキ自動詞調整を基本にセットする
まずは、ブレーキシューのサイドブレーキ自動調整機構を基本設定の状態で組み込むことが重要です。これを間違えると、ブレーキの引きずりをおこしたり、ブレーキドラムが入らなかったりします。
ブレーキドラムが取り付けできた後、ブレーキを何回か踏み込み、どの位サイドブレーキが「カチカチ」鳴るか確認してください。
ムーブの場合は、4〜6ノッチというカチカチ回数です。今回は、7回くらいカチカチ(交換前は、9回でした)鳴りましたので、サイドブレーキ調整を少し行いました。
フットサイドブレーキ上方のアジャスターで調整
ムーブは、フットサイドブレーキです。フットブレーキの右上にサイドブレーキ調整ロッドがあります。このロッドを回して調整していきます。
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ムーブのドラムブレーキシュー交換・サイド調整では?
ムーブのドラムブレーキシューを交換・サイド調整する場合には、どのような注意点が必要でしょうか。
ドラムブレーキ交換は、片側ずつ行う
ドラムブレーキは、何度行っても迷ってしまいます(筆者の場合は)。片方ずつ行うことで、解らなくなったら逆側をみて取り付け構造を参考にします。
片側ずつ行う事は、非常に重要だと考えています。たまに2人で作業を進めてしまい、2人とも?となっているという状況を見ますが、こうなると整備書がないと先に進まなくなります。なぜなら「だろう」で組み付けてしまうと、事故に繋がるからです。
リアドラムブレーキ周りを清掃する
ドラムブレーキは、ディスクブレーキとは違い、ダストなどがドラム内に多く残ってしまいます。そのためせっかくシュー交換するのであれば、清掃もしておいた方が良いでしょう。
ブレーキリザーバータンクをチェック
新品のブレーキシューに交換するという事は、ブレーキフルードがリザーブタンクに押し戻されることになります。ブレーキフルードの液量を最後にチェックしましょう。
最後になりますが、ブレーキ整備は重要保安部品です。余り自信の無い方は、プロの整備士に任せてください。