エアコンをつけたら、「ヌルイ風が出てくる」事に遭遇した方もいるのではないでしょうか?ディーラーやスタンドなどで、エアコンガスの補充をお願いしたら、数千円~1万円近くの見積もりになった方も少なくないようです。ここでは、DIYでも注意すればエアコンガスが補充できるというお話を、実際に作業しながら解説してみます。
エアコンが効かない原因って?DIYでガス補充する前に
暑い日にエアコンが冷たくならなかったら、お出かけどころではなくなりますね。エアコンが効かない原因は複数あります。ここでは、エアコン故障の原因などを解説します。
エアコンガスが抜けている
最近のエアコンには、R134aという冷媒が使用されています。このガスはR12冷媒とは違い、年間に減る量は、5g~10g前後とされています。
10年以上経過してくると、エアコンガス不足になる事が考えられます(既定量が500gで400gほどにガスが減ってしまった場合)。
コンプレッサー故障
コンプレッサー内部やコンプレッサーのクラッチなどに異常が発生し、コンプレッサー機能が働かなくなってしまった場合です。
こちらは、根本的な故障修理が必要となります。
エアコンコンデンサーの汚れ、ファン故障
コンデンサーに泥汚れが詰まってしまい、冷却性能が落ちている事があります。その場合は、キレイに洗浄することでエアコン機能が回復します。
一方コンデンサーファンモーターが故障してしまった場合は、モーター交換が必要になります。
配管のつまり
エアコン配管内部で、異物や水分などが詰まってしまった場合を指します。この場合は、配管を交換するか洗浄しないとなりません。
エアコン操作パネルの故障
操作パネル自体が故障した場合は、やはり交換作業することが第一です。冷たくしたいのに、操作レバーが故障して冷たい方に動かないなどがあります。
DIYでエアコンガスを補充
DIYでエアコンガスって補充できるものなのでしょうか?ここでは、DIYでもできることを実際に作業しながら説明していきます。
エアコンガスが補充できる要件
エアコンガスが補充できるのは、先程説明したエアコンガスが効かない原因の中で、ガスが不足しているときのみです。
それ以外の故障の場合は、ガス補充はせずに整備工場などに修理依頼しましょう。
DIYでエアコンガス補充するのに必要なツール
多くはないのですが、エアコンガスを補充する場合には、ツールと補充用缶が必要になります。
カーエアコンガス チャージングホースです。ガス補充用の簡易的なものです。
R134aの補充用ボンベです。主流はR134aですが、旧型車(平成6年以前)の場合R12を使用している場合もあります。
エアコンガスの補充は、専用業者さんに頼むと案外高いという声が多いです。チャージングホースは、一度購入したら長く使える物ですので、次回からはガスだけ購入すればよいことになります。
DIYでできれば、かなりお得ではないでしょうか。
エアコンガスをDIYで補充する際の最初の注意点
非常に大事な話なのですが、エアコンガスは気温やエンジン回転数によって、適正な圧力が違います。
これを理解していないと大きなミスに繋がります。
20℃ | 25℃ | 30℃ | |
低圧側適正圧 | 0.14 | 0.17 | 0.21 |
許容範囲 | (0.09~0.18) | (0.11~0.22) | (0.15~0.25) |
参考までに、表を作成してみました。またエンジン回転は、1500rpm保持となっています。
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DIYでエアコンガスを補充する手順
エアコンガス補充の手順と注意点を解説していきます。
エアコンガスをDIYで補充してみよう!
①エンジンを停止した状態で、L側のキャップを外します。H側は、使用しません。触らないようにしましょう。
②チャージングホースを差し込みます。この時逆側には新しい缶をつなぎ、缶には穴が開いていない状態です。つないだ後、チャージングホース内の空気を一度抜く為に、缶を緩め、エアパージ作業をします。一瞬プシュと言えば、作業は完了です。
③エンジンが停止した状態で圧を計測します。実はここがポイントです。エンジンを停止して計測した圧力が、一番高い状態です。この時点で上記の画像のように適正範囲位の圧だと、ガス不足になっていることが一般的です。
④エンジンをかけ、エアコン全開、再低温、内気循環 1500rpmで回転維持します。この時点で、サイトグラスの気泡が大量に流れ続けているので、エアコンガスの不足です。この車は、他の異常がないかチェック済みです。異常はない状況です。
⑤エアコンガスを補充していく
接続した缶の先を締めこむと、缶に穴が開きます。その後先を緩めてガスを補充していきます。
このときメーターをしっかり覗きながら作業しましょう。入れすぎは良くありません。作業した日は、33℃でしたので3.0メガパスカル位までが上限になります。
またガス補充の際は、缶は上向きで補充します。液化されているガスを逆さに振ると液体のまま補充されてしまいます。
⑥エアコンの効き具合の確認を行います。サイトグラス内にも急激な泡の流れもなく、車内も「ひえひえ!」の風が出て来ています。DIYでもしっかりとガス補充ができました。
DIYでエアコンガス補充をもう一台してみる!
最初にエアコンガス補充作業をしたのは、4トンのトラックでした。せっかくですので、エアコンが効かないという乗用車が一台あったので、同じように検査・補充をしてみます。
エアコンガスの過不足をDIYで検証
先程と同じように、エンジンを停止した状態では、黄色から赤のゾーンにあったのですが、エンジンをかけてエアコン全開にして、最低温、内気循環、リアエアコン作動をさせたところ、数値が上記画像まで下がって安定しています。
さすが大型乗用車です。リアエアコンまでついているので、エアコンガスの既定量が1050gとなっています。 メーターの針のふれ方も大きいという結論です。
若干少ない状況であると判断しました。
エアコンガスをDIYで補充!
少ないと判断できたので、少しづつ補充していきます。今回は、ユーザー様が立ち会いしていたので、エアコンの効き具合を車内で見てもらいながら、メーターの針と併用で補充しました。
ユーザー様から「冷えてきた!」という声の時点で、上の画像の圧力です。先程もお話ししましたが入れすぎは良くありません。冷えた!+チョコっとで終了しました。
エアコンガスをDIYで補充する際の注意点とポイント
DIYで作業する際は、慌てないで作業することが重要です。ポイントは、その日の気温によって、ガスの圧力が変わるという事です。
また忘れがちなのは、エンジン回転を1500rpmに保持して計測することでしょう。諸注意と手順をしっかり守れば、難しい作業ではないです。